目次
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編集委員会と編集諮問委員会
論文
1990年代以降の中国雲南省麗江における納西族東巴文字の政治的経済的変容/高茜
近代日本における建築と家具設計の関係??木檜恕一の場合/サラ・ティズリー
書評
川畑直道『原弘と「僕達の新活版術」??活字・写真・印刷の1930年代』/評者 井口壽乃
アリソン・クラーク『タッパーウェア??1950年代アメリカにおけるプラスチックの約束』/評者 面矢慎介
ノイズ
新しい対話の形/キュー・リーメイ・ジュリア
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論文1
1990年代以降の中国雲南省麗江における納西族東巴文字の政治的経済的変容
高茜(ガオ・チェン)
キーワード
中国雲南省、震江納西族、東巴文字、改革・開放、観光政策、文化保護
概要
1978年の改革・開放以来の中国にあっては、経済発展を目指すさまざまな政策が展開されると同時に、宗教を含む文化に関する制限もある程度解かれることになった。その一環として、1990年代以降、納西族が最も多く居住している雲南省麗江において、3つの「世界遺産」(古城、自然、東巴文字で描かれた東巴経典)が順次認定され、それに伴って、東巴文字は麗江の観光的発展とかかわりつつ、劇的な変化を遂げることになった。
本研究は、2001年から2003年のあいだの計4回にわたる現地調査をもとにして、1990年代以降の麗江納西族の東巴文字の変容過程を政治的、経済的、文化的文脈に照らして明らかにしようとするものである。
調査の結果、宗教文字としてすでにほぼ衰退していた東巴文字が、この時期、主として観光政策と観光業の発展に伴う新たな社会的基盤を得て、今日的に復活していく様子が認められた。しかしそれは、本来の宗教的、文化的意味と役割を喪失した文字が商業的に利用されていく新たな姿であり、さらに一部には文字そのものが異形化されていく、ある観点からすれば異常な姿をさらけ出すものでもあった。本論文では、そうした問題に対して言及され、分析が施されている。
論文2
近代日本における建築と家具設計の関係——木檜恕一の場合
サラ・ティズリー
キーワード
木檜恕一、大正時代日本、木材工芸、家具と建築の関係、住宅改善、建築学会
概要
本論文は、デザイナーおよび教育者として戦前日本のデザイン界に大きく貢献した家具デザイナー木檜恕一 (1882-1943) が住宅建築改良の提案を通して、建築業界とどのように付き合っていたのかということを明確にする試みである。明治末期に建築の教育を受けてから師匠の意思で家具の研究に専任した木檜は、1910年代は日本における洋風家具生産の改善のために力を尽くしたが、1920年前後に生活家改善運動に出会ってからは活動が一般国民の住居環境の改善へとまで広がった。その後、洋風な空間・モノ・生活様式を導入して、従来の生活と融合させることが「近代日本」という新しい社会の形成条件であると考えた木檜は生産者側・消費者側をこだわらず、住居環境と家具の改造を唱え続けた。生活改善同盟会会員であった木檜にとって、建築や室内装飾や家具意匠などは新しい生活様式を提供する手段以上に新しいアイデンティティの鍵であった。しかし、このように住宅建築について語り続けた木檜は本業が家具デザイナーと見られたため、彼の提案は一般社会やデザイン業界の間で広がっていても、 建築業界での彼の発言は家具製作の改良について限られていた。
本論文は、以上の状況を背景に、木檜の活動と言葉において展開される家具と建築の社会的役割に対する概念を分析してから、当時の日本の建築界における木檜の位置づけについて考察する。また、男性建築家やデザイナー以外に、当時は制度上、建築家やデザイナーにはなれなかった主婦や女学生を対象に住環境の総合制作の必要性を主張した木檜の仕事にみえる家具、建築とジェンダーの関係についても言及する。
書評
川畑直道『原弘と「僕達の新活版術」??活字・写真・印刷の1930年代』/評者 井口壽乃
アリソン・クラーク『タッパーウェア??1950年代アメリカにおけるプラスチックの約束』/評者 面矢慎介
ノイズ
新しい対話の形/キュー・リーメイ・ジュリア